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徹底解説みかさふみ講座 第34回 [2022.12.3]

みかさふみ タカマ成る文 (3)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 たかまなるあや (その3)
 タカマ成る文 https://gejirin.com/mikasa06.html
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 あもとあらわれ うみてのる うつろしなとに はおめくり
 ありさまなせは つきのみつ うみとたたえて
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 天元顕れ 生みて乗る ウツロ・シナトに 地を恵り
 あり様なせば 月の水 海と湛えて 
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■天元顕る (あもとあらわる)
アモトは 「天元神」 をいいます。
アラワル(現る・顕る・表る)
は 「アラワ(顕・露)になる」 という意です。

この場合は、天元神が地上に生れる/顕現するということではなく、
それまで無個性だった8神が (ただひたすら虚空を周回していただけ)、
陽陰の分離、天地の分離、日月の創生を終えて、ついにト・ホ・カ・ミ・
ヱ・ヒ・タ・メ の神としての、それぞれのキャラクターを現すに至った
ということだと思います。


■ウツロ ■シナト
ウツロ(空ろ)は 「空間」 を意味し、シナト(科戸級長戸)は 「風」 の別称ですが、
ホツマの18アヤに次のような記述があります。

 ’ウン’の手の ウツロヰを馬 ’イニ’の手の シナトは轡
 光 鞭 ’オ’手に地球 のりめぐる     〈ホ18-2〉

ですから ウツロ(空)を 「馬=乗り物」 とし、シナト(風)を 「くつわ=制御具」 として、
霊体としての天元神が、まだ環境の整っていない地球を乗り巡ったということです。
このころの地球は地表を溶岩が覆い、まだ人間はいません。
(ただしホ18アヤでは、これを行ったのはアメノミヲヤということになっています。)


■恵る (めぐる)
現在の メグル(回る・廻る・巡る) には自動詞の意味しかありませんが、
ホツマの頃には他動詞の意味がありました。すなわち 「回す・めぐらす・
配る」 等の意です。そしてこれは 「恵む・ほどこす」 と同義となります。
用途は限定的で、「あちこち巡って恵む」 の意味で使う場合が多いです。


■あり様なす (ありさまなす)
“あり様” は “ある形” の同義語で、この場合は
地を恵る効果が 「現れた様相を見せる」 という意です。


■月の水 (つきのみづ)
” は ここでは 「陰」 の換言です。(陽陰=日月)

 

【概意】
天元神は顕在化してウツロとシナトを生み、
それに乗り巡って地を恵み、その効果の現る様をなせば、
月(=陰)の水を湛えて海となす。

 

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 ひにうめる うつほうこきて かせとなる
 かせほとなれは つちもまた みつはにとなる
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 日に生める 空 動きて 風となる
 風 火となれば 地もまた 水・埴となる
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■日 (ひ)
ここでは 「陽」 の換言です。“月” の反対語です。(陽陰=日月)


空 (うつほ・うつぼ)
「空間」 また 「空間を埋める見えない何か=空気」 をいいます。
ウツロ(空ろ・洞ろ・虚ろ)とも呼ばれます。

 ウツホは ウツフの名詞形で、「失せて減るさま」 が原義です。
 ウツフは ウツ(棄つ)/ウス(失す)ツフ(禿ぶ) の短縮です。
 ウツロは ウツル(移る)の名詞形で、ウツルは ウスル(薄る)の変態です。
 ウスラ(薄ら) や “うつらうつら” のウツラは ウツロの変態です。


■地・土 (つち)
天地(あめつち)の ツチ で、これも 「陰」 の換言だと思われます。(陽陰=天地)

 同一の言葉、この場合は ヲ(陽)とメ(陰) ですが、そればっかりが文面に
 出てくるとうんざりするので、文章の新鮮さを保つためにいろんな同義語
 換言しているように思います。

 ヲ(陽) : ウヲセ、ヒ(日) 
 メ(陰) : ウメ、ツキ(月)、ツチ(地)

 

【概意】
日(=陽)に生れる “空” は 動いて “風”となり、
風も “火” となれば、地(=陰)もまた “水” と “埴” となる。


 こうして地に人を生む (物質世界に神霊を降ろす) 環境が調います。

 

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 このゐつつ ましわりなれる かんひとは あうわあらわる
 みなかぬし くにたまやもに よろこうみ はつにをうみの
 ゑとのこの ゑみこあにつき をうみたす
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 この五つ 交わり生れる 上人は “アウワ” 現る
 ミナカヌシ 地球八方に 万子生み 果つに ヲウミの
 兄弟の子の 兄御子 上に継ぎ ヲウミ治す
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■この五つ (このゐつつ)
陽から生れた「」 と、陰から生れた 「」 の5元素を指します。

 5元素は、インドでは 五大(ごだい)、シナでは 五行(ごぎょう) と呼ばれ、
 またギリシャでは 四元素(しげんそ)エーテル と、世界中にさまざまな
 バリエーションがあります。
 しかしその理論 (いかにして陽陰と5元素は生れたか?) の整然性・明瞭さ
 において、ホツマ・ミカサの説明に勝るものはないだろうと思います。


■上人 (かんひと)
「上流/源流の人・先立つ人・初めての人・人の先祖」 の意に解しています。


■“アウワ” 現るミナカヌシ (あうわあらわるみなかぬし)
アウワ(▽陽結陰)は 創造神 “アメノミヲヤ” の別名です。
ですから 「アメノミヲヤが地に顕現したミナカヌシ」 という意です。

 
■果つに (はつに)
ハツ(果つ)は 今風には ハテル(果てる)です。
ここでは 「人の一生を終えると」 という意味です。


■ヲウミ・アフミ
「中間・中央・中心」 などが原義です。
この場合は 「地球八方の中心・世界の中央・世界中央政府」、また
「その主」 を意味しますが、その場所が日本の 「近江」 であったようです。

近江は北海道を除く日本の東西南北のほぼ中央に位置し、それが名の由来と
考えていましたが、「世界の中心」 こそがヲウミの意味する所なのかもしれません。
そしてヲウミの主の名は、そのゆえに ミナカヌシ(真中主) なのでしょう。

 ヲウミは ヲフ(合ふ)+ウム(▽結む・績む) の名詞形、
 アフミは アフ(合ふ)+フム(踏む) の名詞形で、いずれも
 「合い/合わせ・間(あい)・相(あい)・中・半・対」 などを意味します。

 なお 辞書は アハウミ(淡海) の転であると記していますが、
 ホツマ・ミカサは “アワウミ” と “ヲウミ/アフミ” を明確に区別しています。


■ヲウミの兄弟/上下の子 (をうみのゑとのこ)
「ヲウミ(=ミナカヌシ)の万子兄弟」 という意ですが、ここでは特に 天元8神
降臨・顕現である 「ヱ・ヒ・タ・メ・ト・ホ・カ・ミ の8兄弟」 を指すものと思います。

 ★八方八下りの御子 (やもやくだりのみこ)
 ミナカヌシは地球の八方を巡って、おびただしい数の子を生みますが、
 ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メの八御子を、後継者として八方に派遣します。
 八御子は現地に下り、社会の基礎を整えて ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ の
 八国を建てます。この八御子が “八方八下りの御子” の元祖です。
 それに続いて キツヲサネ+アミヤシナウ の11尊が下って八国を治め、
 その次は八国のクニサツチ、そして八国のトヨクンヌがそれに続きます。


■兄御子・上御子 (ゑみこ)
これがいわゆる 「の尊」 (ゑのみこと) です。

 
■上に継ぐ (あにつぐ・あめにつぐ)
アは アム(▽上む)の名詞形の アメ/アマ(▽上・天)の略形で、「上(うゑ・かみ)」 を
原義とし、この場合は 「上流にあるもの・親・先代」 などをいいます。
ですから 「親に継ぐ・先代に継ぐ」 という意です。

 

【概意】
この五つが交わって生れる初の人間は、アウワの神が顕現したミナカヌシ。
ミナカヌシは地球の八方に万の子を生んで、その一生を終えると、
ミナカヌシの子兄弟の、兄御子(=ヱの尊)が先代に継いで中央政府を治す。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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