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徹底解説みかさふみ講座 第56回 [2023.6.2]

みかさふみ アワ歌の文〈神代和字〉 (4)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 あわうたのあや (その4)
 年内になす事の文 https://gejirin.com/mikasa10.html
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 そのときひるこ またとけす
 むかしふたかみ うみませし みをかみひとめ
 そのほかに いかてかくにお うむやらん

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 その時ヒルコ まだ解けず
 「昔 二尊 生みませし 三男尊一女
 その他に 如何でか国を 生むやらん」

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■三男尊一女 (みをかみひとめ)
二尊は ワカ姫とアマテルの間にヒヨルコを孕んでいますが、流産でした。

 アワナギ─イザナギ┐
          ├1.ワカ姫  (斎名ヒルコ)
          ├2.アマテル (斎名ワカヒト) 
          ├3.ツキヨミ (斎名モチキネ)
          ├4.ソサノヲ (斎名ハナキネ)
 トヨケ──イザナミ┘


如何でか (いかでか)


■国を生む (くにおうむ)
この場合は、各国の 「民を和して調えて治めること」 を意味し、
その具体策として 「民の言葉の乱れを調えて直した」 ことをいいます。
ところがヒルコは、三男一女と同じく、二尊が男女の交わりによって
生んだと思っているみたいです。

 

【概意】
その時ヒルコはまだ解けず、
「むかし二尊がお生みになった三男尊一女。
その他に如何にして国を生んだのやら。」

 

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 あめのやわしは それならす
 うゐのあわねは なりはゐお おしすくるなり 
 しかはその あうわはこゑの ゑなならん
 いやとよあうは ねおわけす

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 陽陰の和しは それならず
 初のア・ワ音は 成り生いを 押し優るなり 
 しかばその ア・ウ・ワ は声の 胞衣ならん
 いやとよ ア・ウは 根を分けず

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■陽陰の和し (あめのやわし)
「陽陰の融和・男女の融和」 を意味します。


■初のア・ワ音 (うゐのあわね)
基つ音のムとヤ” と同じです。


■成り生い (なりはゐ)
ナル(生る・成る)+ハユ(生ゆ・▽栄ゆ) の名詞形で、
「成ったり生えたりすること・生えて栄えること・生成」 などの意です。


■押し優る (おしすぐる)
「押し上げる・押して勢いづける・促進する」 などの意です。


■しかば (如かば・然ば)
シカレバ(然れば)と同じです。


■ア・ウ・ワ
「ア(陽)・ウ(火)・ワ(陰) の各音」 をいいますが、
‘ウ’ は 基アが上ったオシテ なので、ア(陽)と同じらしいです。


いやとよ (否とよ)

 

【概意】
それは男女の融和によるものではない。
しかし基つ音のア(陽)とワ(陰)は生成を促進するなり。
しかれば その ア・ウ・ワ は48声の母体であろう。
あ〜、いや、アとウは根はいっしょだった。

 

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 すてにわくるる あわうたは やつのかたちに むつのりの
 つねのさとしお くりかゑしてよ
 あかはなま いきひにみうく ふぬむえけ へねめおこほの
 もとろそよ をてれせゑつる すゆんちり しゐたらさやわ
 あわみちに こころつくせと

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 すでに分くるる アワ歌は 八つの形に 六つ乗りの
 常の諭しを くり返してよ
 かはなま きひにみうく ぬむえけ ねめおこほの
 とろそよ てれせゑつる ゆんちり ゐたらさやわ
 “アワ道に 心尽せ” と

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■すでに分くるるアワ歌 (すでにわくるるあわうた)
「すっかりバラバラになっているアワ歌」 という意で、
これはつまり 「フトマニ図上のアワ歌」 をいうものと思います。

 スデニ(既に・已に)は ここでは 「のこらず・ことごとく・すっかり」 などの意です。


■八つの形に六つ乗り (やつのかたちにむつのり)

 “八つの” はフトマニ図上の ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ 天元8神、
 あるいは ア・イ・フ・ヘ・モ・ヲ・ス・シ 天並8神 をいいます。
 たとえば トの神に着目すると、アウワを中心として放射状に
 広がる扇形の最も内側に坐すわけですが、その外側には、
 ス・ツ・ル・イ・キ・ニ の 6神が乗るという構造になっています。
 あるいはまた、アの神に着目すれば、内側に タ・ホ の2神、
 外側には ヤ・マ・ハ・ラ の 4神と、やはり扇に6神が乗っています。
 48神の、この配置関係を “八つの形に六つ乗り” と表していると
 考えます。


■常の諭し (つねのさとし)
「常の教え・平素の諭し・不変の諭し・ときわの教え」 などの意で、
具体的には アワ歌詠唱の後に出てくる  “アワ道に心尽せ” をいいます。


アワ道 (あわみち:和道・陽陰道)
ここでは 「陽陰和合の道・融和の道・調和の道」 などの意です。
あめのみち(陽陰の道・和の道)、あめなるみち(陽陰和る道)、いせのみち(妹背の道)、
やまとのみち(和の道)、とのみち(調の道) などともいいます。

 

【概意】
すっかりバラバラにされたアワ歌 (=フトマニ図上のアワ歌) は、
八つの形に六つ乗りの48神が、平素の教えをくり返しているのよ。
 あかはなま いきひにみうく ふぬむえけ へねめおこほの
 もとろそよ をてれせゑつる すゆんちり しゐたらさやわ
“和の道に心を尽せ” と。

 

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 にふのかみ あめのおしゑに ややさめて やわしわらはす
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 ニフの尊 陽陰の教えに やや覚めて 和し笑はす
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■ニフの守/尊 (にふのかみ:▽和の守/尊)
これもヒルコの別名です。この名の由来についてはアヤの最後で語られます。
ニフは ニフ(▽和ふ・▽似ふ)の名詞形で、これも 「やわし・やわ」 を意味します。
今に言う 柔(にゅう・やわ・やわら) です。“丹生” とも当字されます。

 丹生都比売神社 (にふつ/にうつひめじんじゃ)
 和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野230。
 現在の祭神:丹生都比賣大神 (稚日女尊)
 ・天照大御神の妹神で、稚日女尊(わかひるめのみこと)とも申し上げる。


■陽陰の教え (あめのおしゑ)
アメ(陽陰)は 「太陽神霊と太陰神霊の顕現であるアマテル」 を指します。


■和し笑はす (やわしわらはす)
ヤワス(和す・▽柔す)+ワラフ(笑ふ)+ス(尊敬) で、
「やわらかに笑われる・にこやかに笑われる」 などの意です。

 

【概意】
ニフの尊は アマテル神の教えにようやく理解して、にこやかに笑われた。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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