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一から学ぶ みかさふみ講座 第48回 [2023.4.7]

みかさふみ 埴纏りの文 (2)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 はにまつりのあや (その2)
 埴纏りの文 https://gejirin.com/mikasa08.html
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 もしやよこまの さはいせは あらかねのはお
 うつろゐの うをまさかみの まさかりや
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 もしや汚曲の さばいせば あらかねの土を
 ウツロヰの 大将神の マサカリや
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■汚曲 (よこま・よこが)
ヨコ(横・▽汚)+マ(▽曲・魔) の連結で、両語とも 「曲るさま・逸れるさま・
外れるさま・異常」 などが原義です。ヨコガとも呼ばれます。
ヲヱ(汚穢)ヨコシマ(邪) の同義語で、ここでは 「邪霊・悪霊」 をいいます。


■さばいせば (▽障いせば)
サバイは サワリ(障り) の変態です。
ですから 「障りをなせば・支障をきたせば・障害となれば」 などの意です。
サバエ(五月蠅)も本来はこの意味だと思います。


■あらかねの土 (あらかねのは)
あらかねの” は ツチ(土) にかかる枕詞で、ハ(ワ)は 「地・土・埴」 です。
この場合は 「穢れ衰えた土地」 を意味します。

 この “あらかね” は 「粗金」 ではなく、「下って凝るさま」 を意味します。


■ウツロヰの大将神 (うつろゐのうをまさかみ)
ウツロヰ(▽空埋)は 「空間/空気を支配する自然神」 ですが、空が埴とまじわって
鉱物(石・珠・金属)を生ずることから、「金属・金物の神」 としての側面を持ちます。

 埴 空 受けて 蝕は石 清は珠 山に空の 通り成る 粗金のアワ
 錫・鉛 清は果黄金 清白金 泥に赤金 果黒金   〈ホ15-2〉

ウヲマサ/ヲマサは、語義は未解決ですが、ウツロヰに宛てられている名です。
ヤマサ神が起源と思われる八将神の、「大将軍」 に相当すると考えられるため、
“大将” と宛字しています。大将軍は またの名がやはり 金神(こんじん) です。

 「鳴神の主 東北守 ウツロヰのヲマサ君」 とぞ 年宣りに 居代賜わる 〈ホ21-5〉


マサカリ (真盛り・鉞)
マス(増す・▽全す)+サカル(盛る) の同義語短縮 “マサカル” の名詞形で、
「高まり至るさま・優れ極まるさま・洗練・精錬」 などを意味します。
ここでは 穢れ衰えた土を 「清めて健全にすること」 をいうのでしょう。

 マサカリ(鉞) は 「精錬金属の製品・金物」 が原義と思います。それゆえ金太郎の
 担ぐマサカリに限らず、鋤や鍬などもマサカリの一種だったのかもしれません。

 

【概意】
しかし、もしも邪霊が障るようなら、
穢れた土を、ウツロヰの大将神 (金神) で洗練や。


 実際にどのように洗練するかというと、金属製品を土に入れることで行います。
 精錬した金属 (土から採取される粗金を精げたもの) を土に戻し入れることで、
 金神の力が発動し、穢れた土をも精げる効果があると信じられていたようです。
 現在でも地鎮祭においては 「鍬入れの儀」 が行われます。また 鎮物(しずめもの)
 として、金属板で造った 人形・鏡・刀 などを地中に埋めたりもします。

 

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 このはかまろは はひきなす なまろくろまろ あすはなす
 あかまろゐくゐ しろまろは よものつなかゐ
 きかまろは たるはおふきて ゐかすれは
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 この果明磨は 地曳なす 鉛磨・黒磨 明地なす
 赤磨 埋杭 白磨は 四方の綱垣
 黄赤磨は 惰る地を吹きて いかすれば
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■果明磨 (はかまろ)
ハ(▽果)は ハテ(果て)の略で、「果てるさま・極まるさま・至るさま」 を表します。
これは今に言う マ(真・▽全) に相当します。
カ(▽明)は アカ(明)の略で、「昼の明るい太陽の色」 を表します。つまり 「黃」 です。
マロ(磨・円)は マロカネ(磨金)の略です。これは アラカネ(粗金・鉱) の反対語で、
「精錬した金属」 をいいます。
したがってハカマロは 「真黃の精錬金属・黄金」 をいいます。


■地曳 (はひき)
「土地の曲りを直すこと・土地の穢れを祓うこと」 をいいます。

 ヒキ(曳)は 「平らにすること・ならすこと」 を意味し、この場合は
 土地の 「かたよりをならす・曲り/異常を直す」 ということです。
 現在は ヂビキ(地曳) と呼ばれます。


■鉛磨 (なまろ) ■黒磨 (くろまろ)
ナマロ(▽鉛磨)は ナマリ(鈍り)+マロ(▽磨・円) の略で、「精錬した鉛」 です。
ナマリ(鉛)は ナマル(鈍る)の名詞形で、光沢のない 「鈍い風合」 をいうと考えます。
クロマロ(▽黒磨)は 「精錬した鉄・くろがね」 です。


■明地 (あすは)
アス(▽明)は アス(▽明す)の名詞形で、「改めること・新たにすること」 が原義です。
ですからアスハは 「土を改めること・土地の改善」 という意です。

 アサ(朝)は アス(▽明)の変態です。


■赤磨 (あかまろ)
「精錬した銅・あかがね」 をいいます。

 アカ(赤)には2種類あることに注意してください。
 一つは アカ(▽明) で、「明るい昼の太陽の色」、すなわち 「黄色」 の別称です。
 もう一つは アク(上ぐ)の名詞形の アカ(赤) で、「あがりの色・暮れの色・
 夕日の色」 です。こちらは 丹色、紅色 ともいいます。


■埋杭 (ゐくゐ)
ヰク(▽埋く)+クヰ(杭) の短縮で、「杭を打ち込むこと」 をいいます。
ヰクは ヰケル(埋ける)の母動詞で、「埋める」 の意です。
これは現代の地鎮祭における “土地の四隅に青竹を立てる” ことをいうのでしょう。

 ❝土地の四隅に青竹を立て、その間を注連縄で囲って祭場となし、斎主たる神職のもと、
 建設業者・設計者・施主らの参列の上で執り行う。祭壇の左右に、青・黄・赤・白・黒の
 五色絹の幟に榊をつけた 「真榊」 を立てる場合もある。❞ [wikipedia 地鎮祭 より抜粋]


■白磨 (しろまろ)
「精錬した銀・しろがね」 です。


■四方の綱垣 (よものつながゐ)
「四方を囲む綱の垣」 の意です。(垣は “かゐ” ともいいます。例:垣代)
これは現代の地鎮祭における “注連縄で囲う” ことをいうのでしょう。

 ❝土地の四隅に青竹を立て、その間を注連縄で囲って祭場となし、斎主たる神職のもと、
 建設業者・設計者・施主らの参列の上で執り行う。祭壇の左右に、青・黄・赤・白・黒の
 五色絹の幟に榊をつけた 「真榊」 を立てる場合もある。❞ [wikipedia 地鎮祭 より抜粋]


■黄赤磨 (きかまろ)
「精錬した黄銅・真鍮」 で、これは銅と亜鉛の合金です。


■惰る地を吹く (たるはおふく)
「垂れた/だれた/たるんだ/ダルな 土地を勢いづける」 という意です。
フク(吹く・噴く)は “エンジンを吹かす” と言う場合のフカスと同じです。


■ゐかする・いかする (▽活摩る)
ヰク/イク(行く・活く)+スル(摩る・擦る・磨る) の同義語連結で、両語とも
「往き来させる・奮わす・回転させる・回帰させる・改める」 などが原義です。
ですから 「更新する・活かし改める・改善する」 などの意です。

 

【概意】
この果明磨(=黄金)は地曳をなす。
鉛磨(=鉛)と黒磨(=鉄)は明地をなす。
赤磨(=銅)は杭を打ち込み、白磨(=銀)は四方を囲む綱垣をなす。
黄赤磨(=黄銅)は たるんだ土を勢いづけて改善すれば、


 ここに登場する多くの名称は、坐摩神社の祭神となっていて、
 現在では井水の神や竃の神と考えられています。

 坐摩神社 (いかすりじんじゃ)
 大阪府大阪市中央区久太郎町4丁目渡辺3号。
 現在の祭神:坐摩神(いかすりかみ) 以下の5神の総称。 
       生井(いくゐ)神     井水の神(生命力のある井戸水の神)
       福井(ふくゐ/さくゐ)神 井水の神(幸福と繁栄の井戸水の神)
       綱長井(つながゐ)神   井水の神(「釣瓶を吊す綱の長く」 ともいわれ
                        深く清らかな井戸水の神)
       波比祇(はひき)神   竃神(屋敷神、庭の神)
       阿須波(あすは)神   竃神(足場・足下の神。足の神であり旅の神)

 

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 すへてふくゐの かなまろの ななのきたひの
 いくしまや たるしまかみと ふきなする
 かとはくしとよ いわまとの かみのゆきすき すきとほる
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 すべて福埋の 金磨の 七の鍛ひの
 イクシマや タルシマ神と 吹き擦る
 門はクシ・トヨ イワマドの 神の “ゆきすき” 過ぎ通る
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■福埋の金磨 (ふくゐのかなまろ)
フク(福)は フク(吹く・噴く)の名詞形で、「勢い・栄え」 などを意味します。
ヰ(▽埋・井)は 「埋め・込め」 の意で、カナマロ(金磨)は 「金属の精錬」 です。
ですから 「勢い・栄えを埋め込む金属精錬」 という意です。


■七の鍛ひ (ななのきたひ)
“七” は、@黄金 A鉛 B鉄 C銅 D銀 E黄銅 (銅+F亜鉛) と考えます。
キタヒ(鍛ひ)は キタエ(鍛え)と同じで、「鍛錬・洗練・精錬」 を意味します。


■イクシマやタルシマ神 (いくしまやたるしまかみ)
この2神は 「四方の御垣守」 と呼ばれ、「宮/都を囲む垣を守る神」 です。
そのため現在でも宮中に纏られています。

 イクシマと タルシマ四方の 御垣守り  〈ホ14-1〉

 生嶋巫祭神 (いくしまのみかんなぎのまつるかみ) 二座
 東京都千代田区千代田1-1。
 現在の祭神:生嶋神(いくしまかみ)、足嶋神(たるしまかみ)


■吹き擦る (ふきなする)
フク(吹く・噴く)ナスル(擦る) で、ヰカスル(活摩る)の換言です。


■クシ・トヨイワマドの神 (くし・とよいわまどのかみ)
「クシイワマドとトヨイワマド」 の2神をいい、「宮の門を守る神」 です。
宮の門の両脇にはブースがあり、これを ヒノシマ(日の締)/ツキノシマ(月の締)
といいますが、日の締にクシイワマドが、月の締にはトヨイワマドが入って、
門から汚穢が侵入するのを防ぎます。この2神もやはり宮中に纏られています。

 クシマドは 日の締を守る イワマドは 月の締守る  〈ホ14-1〉

 御門巫祭神 (みかどのみかんなぎのまつるかみ) 八座
 東京都千代田区千代田1-1。
 現在の祭神:櫛石窓神(くしいわまどのかみ) 四面門各一座
       豊石窓神(とよいわまどのかみ) 四面門各一座

現在も神社の正門にはよく見られ、門の両脇のブースには弓矢を持った神像が
座っていますが (随神門)、それがクシイワマドとトヨイワマドです。 [画像]


■ゆきすき
ユキ(▽結き・)+スキ(結き) で、どちらも 「結び・付き」 を意味します。
クシイワマドが日の締に結び付くことを “ユキ”、トヨイワマドが月の締に
結び付くことを “スキ” と表しているのでしょう。
というのは ユキとスキ を略して “ユキスキ” と呼ぶからです。
ア・ワ(天・地)=ヒ・ツキ(日・月) ですから。


■過ぎ通る・透き通る・▽優ぎ徹る (すぎとほる・すきとほる)
「過ぎて至る・超えて至る・優れて至る」 などの意です。

 

【概意】
すべて栄えを埋め込む金属精錬の、その七の鍛えが
イクシマ・タルシマ神と共に <垣を> 勢いづけて改善し、
門はクシ・トヨイワマドの神の結び付きにより優れ至る。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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