1962年 (昭和37年) 9月5日 水曜 前の記事 目次 次の記事
 ライヴ演奏:キャバーン・クラブ (夜)

  
ビートルズは前日にEMIスタジオで2度目のレコーディング・セッションがあったため、この日に予定されていたキャバーン・クラブのランチタイムショーの出演は翌日に入れ替えられた。ビートルズが時間通りにリヴァプールに戻ってくる保証がなかったためである。

しかし彼らはイブニングショーへの出演には支障がない時間にリヴァプールに戻って来た。これは彼らの98回目のイブニングショー出演であり、ランチタイムショーを含めると227回目のキャバーン・クラブへの出演だった。ビートルズのキャバーン・クラブへの正確な出演回数は判っていないが、1961年2月9日から1963年8月3日までの期間に、少なくともランチタイムショーで155回、イブニングショーで125回の演奏を行っている。

ビートルズは1962年8月22日に、グラナダTV (Granada Television) の『Know The North』という番組用に、この会場で『Some Other Guy』を演奏するシーンを収録されていたが、この日同局の音響技師ゴードン・バトラー (Gordon Butler) はより高音質な録音のために再びキャバーンを訪れていた。

バトラーはこのイブニングショーでは3本のマイクを使い、ビートルズの演奏を1時間録音している。その内『Some Other Guy』と『Kansas City/Hey-Hey-Hey-Hey!』の2曲が現存している。

『Some Other Guy』の8月22日と9月5日の2バージョンは、どちらも海賊版で聴くことができるが、映像と音声のタイミングのズレが合成編集を暗示するため、早い段階で映像フィルムにオーバー・ダブされていたのかもしれない。『Kansas City』の音声の断片は「アンソロジー」シリーズに収録されているが、インタビューの会話によって不鮮明である。

バトラーはこの2曲の録音から5枚のアセテート・ディスクを作った。その内の1枚は1993年8月にクリスティーズ (Christie's) のオークションで売却されている。
  

あの音響技師が『Some Other Guy』と『Kansas City』のアセテート盤を作ってくれと言って来た。それで1枚をレイ・マクフォール (Ray McFall:キャバーンのオーナー) に渡し、2枚をブライアン・エプスタインに渡した。僕も1枚自分のレコードボックスにしまっておいたんだが、もっと注意すべきだった。ビートルズが有名になった時、そのレコードは消えていた。1993年に1枚のコピーがクリスティーズ (Christie's) のオークションに出品され、15,000ポンドで売れた。それが僕の持っていたものかどうかわからないが、もしそうだったとしてもそれを証明することはできなかっただろうね。

 

ボブ・ウーラー
「The Cavern」スペンサー・レイ

  
ブライアン・エプスタインも『Some Other Guy』の録音の1つから作ったアセテート・ディスクを少数持っていたが、彼はそれを自分のNEMSレコード店で売りさばいている。

  

  

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