1962年 (昭和37年) 4月10日 火曜   前の記事 目次 次の記事
 スチュアート・サトクリフ 死去

  
スチュアート・サトクリフ (Stuart Sutcliffe)、ビートルズの萌芽期にベースギターを担当した才能ある若き画家は、この日脳出血により世を去る。
  

  
彼はドイツ人の婚約者アストリッド・キルヒャー (Astrid Kirchherr) とハンブルグに住むようになって以来、次第にひどくなる頭痛と目の眩みに悩まさていた。スチュアートは過労だと思っていたが、原因はよくわからなかった。

1962年の2月に美術大学の授業中に倒れた彼は大学を中退した。キルヒャーの家族は脳腫瘍の疑いを感じて病院でレントゲン撮影を受けさせるが、異常は発見されなかった。

しかし頭痛はますます頻繁になり、場合によっては激しいひきつけを起こし、また一時的に目が見えなくなることもあった。精神も不安定で、普通に平穏な時もあれば自滅的な狂乱状態になる時もあった。彼は最後の2週間をほとんどベッドの上で過ごしている。

4月10日、写真スタジオで働いていたアストリッドは母からの電話を受け、スチュアートが再び倒れ、これから病院に搬送されると告げられる。

アストリッドは急いで帰宅し、スチュアートと一緒に救急車に乗り込んだ。彼はすでに意識がなく、病院に向かう途中で彼女の腕の中で息を引き取った。死因は右脳室の出血による脳性麻痺と診断された。

スチュアートの病状について正確な原因は突き止められなかったため、さまざまが憶測が飛び交っている。その1つはケンカ中 (おそらくはジョン・レノンとの) に頭を打たれ、それが脳出血を引き起こしたというものである。

しかしスチュアートは比較的長期に渡ってゆっくりと病状が悪化していることを思うと、外傷による脳出血というのは考えにくい。それよりもむしろ先天的な動脈瘤か動静脈奇形 (AVM) が原因である可能性が高そうである。

  

  

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