1961年 (昭和36年) 11月9日 木曜 | 前の記事 | 目次 | 次の記事 | |
ライヴ演奏:キャバーン (昼) エプスタイン ビートルズを見る |
マージー・ビート誌やリヴァプールの各地に貼られた宣伝ポスターで、ビートルズの名前を度々目にしたブライアン・エプスタイン
(Brian Epstein) は、彼らに興味を持つようになっていた。
レイモンド・ジョーンズ (Raymond Jones)
という客がエプスタインのNEMSレコード店に来て、最近ハンブルグで録音した『マイ・ボニー
(My Bonnie)』というシングル盤を求めた後、エプスタインはその若いグループが大きな話題となっていることに初めて気がついた、というビートルズ伝説がある。
ブライアン・エプスタインがキャバーンに来た時、僕もその場ににいた。彼は立派な身なりの上品な男で、まったく場違いな感じだったよ。僕は彼が誰かを知っていた。もっとも口を利いたことはなかったけどね。 | |
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デヴィッド・ブラックハウス |
エプスタインの個人アシスタントのアリステア・テイラー
(Alistair Taylor)
は、ファンからの多くの要望を耳にして、そのレコードを在庫しようとレイモンド・ジョーンズという架空の名前をつくったと主張している。(当時のNEMSの発注手続きでは、購入予約したお客の名前を付記することが義務付けられていたため、在庫するためには架空の顧客名が必要だった。)
しかしテイラーのこの主張こそでっち上げであった。ジョーンズは本当に顧客として実在していたし、現在もスペインに実在している。
ビートルズの名前をあちらこちらで聞いて、エプスタインの彼らへの興味は募っていった。そしてマージー・ビート誌のビル・ハリー
(Bill Harry)
は、エプスタインとテイラーがリヴァプールで彼らの演奏を見るための準備を引き受ける。
ブライアン・エプスタインは、ビートルズが彼のホワイトチャペルの店の近くで演奏していることを知った。彼はビートルズがどんな連中かという好奇心に駆られた。それでマージー・ビート誌のビル・ハリーに電話して、自分がキャバーンに行くのをうまく取りなして欲しいと頼んだ。ビルはレイ・マクフォール (Ray McFall) とドアマンのパディ・デラニー (Paddy Delaney) に話を通して準備を調えた。 | |
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ボブ・ウーラー |
この日11月9日は、ビートルズがキャバーン・クラブのランチタイムに出演する日であった。エプスタインとテイラーは順番待ちの列に並ぶこと無く入場を許可された。そしてエプスタインはDJのボブ・ウーラーが待機するPAシステムの上のスペースに案内される。
1961年11月9日、ブライアンは個人アシスタントのアリステア・テイラーを連れてやって来た。そして彼らは群衆の背後に立ってジョン・ポール・ジョージ・ピートのステージを見た。あまり良く見えなかったが、それでもブライアンは彼らに打ち倒された。彼がキャバーンに来たあの日のランチタイムは、いい演奏だったのは幸運だった。彼はビートルズの身のこなし方も気に入って、とても動物的だと感じた。彼らは野性的で、髪にはくしも入れず、そして何より重要なのは、彼らはしなやかで肉体的に魅力的だった。 | |
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ボブ・ウーラー |
エプスタインは後にデレク・テイラー (Derek Taylor)
をゴースト・ライターとして自伝を出版するが、その中でビートルズのプレーを見た時の最初の印象を語っている。
私は即座に彼らの音楽、そのビート、ステージでの彼らのユーモアのセンスに打たれました。その後に彼らと対面した時にも、私はふたたび彼らの個人的な魅力に打たれました。ですからすべてが始まったのは、本当にあの場所でした。 | |
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ブライアン・エプスタイン |
エプスタインとテイラーはショーの終了後、"掃除具ロッカーと同じサイズ"
と評される彼らの楽屋に入った。ビートルズはエプスタインに気づくと、まずジョージが会話の口火を切る「ところでいったい何がエプスタインさんをここに運んできたのかな?」
ブライアン・エプスタインは整った髪と上品な黒っぽいスーツを着て、場に不釣合いな感じがした。すべてのショーが終わった後も、彼はまだうろうろしていた。だから僕は彼に近づいて「もうみんな終わりましたよ。」と言った。彼は「うん、いいんだ。私はビートルズに会いに行く。」 | |
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パディ・デラニー |
エプスタインはその後の数週間、何度もキャバーンに足を運んで彼らのプレーを観察した。12月10日にエプスタインは、彼がビートルズのマネージャーになることを提案する。そして彼らは1962年1月24日に、期間5年のマネージメント契約にサインするのである。
僕は前にブライアン・エプスタインと会っていた。だから彼にキャバーンで何をしてるのか尋ねたんだ。彼は「ビートルズを見に来た。彼らはとてもいいと思う。」と言った。でも彼らと契約することについては何も言わなかったよ。 | |
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レイ・エニス (スウィンギング・ブルー・ジーンズ) |
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